About FORM

The talk|June 30 2016

フォルムについて。

08bookがセレクトしたプロダクトは、何を一番の基準にしたか。選んでいるときはあまり意識していなかったが集まったものを見ると“フォルムの美しさ”なのだと思った。今回、1950年代にカール・オーボック2世によってデザインされた卵型のペイパーウェイトをセレクトした。これは、かのバウハウスの創立者ヴァルター・グロピウスも気に入り、ラージサイズを自身のデスクで使っていたというもの。

カール・オーボック作品には、人の手足を象った真鍮や魚型のオープナーなど具体的な形をしたプロダクトも数多くあるのだが、卵型のシンプルな形状がこのブランドの中でも、普遍的な美しさを放っていて、特に気に入っている。

具体的なものの形を表現するのは、ある種、制約のあるクリエーションでもある。一方、三角や四角、丸といった抽象的なフォルムをベースにした作品には、こうあるべきというお手本がない。創造の余白があり、作り手の作風、ものが持つ素材感がより出やすい。だからこそ、その中で光る個性をいつも以上に求めているのだ。

Text: Chizuru Atsuta
Photo: Masaya Takagi