ひとつの顔に表れる、陰影と表裏。本来は対極にあるものを、アイテムの前後と左右に共存させた。
それは、完全か、また不完全か。アート作品のように、受け手の視点や着眼点に委ねた挑戦的なアプローチ。
異なる素材や、異なる形をひとつのものにミックスする。その姿は見る角度によって印象を変え、人の目を止める。どこからともなく漂う違和感が、アート作品を目の当たりにしたときのような衝撃を与える。
言葉やグラフィックから連想することや、そこに宿るイメージにも、本来の意味と、それを皮肉ったような“表裏”が存在する。大事なのは、受け手がどのように感じて読み取ったか。そこに答えはないし、必要と思わない。
ファッションにおいても、アートにおいても、少なからず作り手のメッセージが含まれている。ただ、それを押し付けるのは、いかなるものか。言葉にすることが難しいこともある。作りとのものに対して、受け手が感情を巡らせて
Text: Keiichiro Miyata
Photo: Shunya Arai
Styling: Junko Kobashi