SCANDINAVIAN DESIGNS

The story|December 10 2019

家具と共に迎えた北欧器の黄金期

手狭な住宅が多い北欧では、生活への配慮が家のなかのデザインに生かされている。天板のサイズが調整できるカフェテーブルは、まさに代表的なものだ。どれも機能や実用性が重視され、さらに選ぶ色や柄、フォルムまで、圧迫感を与えない気遣いが張り巡らされているからこそ、華美な造形がない。それこそが、北欧デザインの源流だ。脈々と流れる北欧の物作りが世界で脚光を浴びたのが、1954年のこと。北米の都市を巡回した『デザイン・イン・スカンジナビア展』が大きなきっかけとなり、これを機に“北欧デザイン”というジャンルが確立され、デンマーク出身の家具デザイナー、ハンス・J・ウェグナーやアルネ・ヤコブセンたちが脚光を浴びることになる。自然のあたたかさを生かした家具に機能美や芸術性を内包したデザインは、どれもミニマルな空間にすっと馴染み、控えめながらも存在感を放つ。

北欧デザインにおいて、1940年から60年代が家具デザイナーの黄金期と言われているが、実は陶芸家が豊作な時期でもある。中国の古陶磁からインスピレーションを受けたスウェーデンを代表するベルント・フリーベリ、ピカソやマティスと共にモダニズムの流れをいっきに開花させたアクセル・サルト、日本の民藝に影響を受けたヴィルヘルム・コーゲなど、彫刻のようなフォルムと流線美が優美な彼らの作品。ミニマルな北欧家具の空間に、彩りやインパクトを加える、良きバランスを空間に描く。

ほかにも、フィンランドデザインの良心と呼ばれたカイ・フランクがアラビア社から発表したテーブルウェア『キルタ』。そのカップ&ソーサーは、それぞれ単体で使えるように、ソーサーにはカップを固定する溝がなく、小皿としても使うことができるように考慮されたデザインになっている。スタッキング収納しやすく場所を取らない。これもまた、手狭な住宅が多い北欧らしい実用性から生まれたもの。生活を彩るものに一貫して投影された北欧らしい美意識は、時代を越えて人の心を惹き付ける魅力がある。

Text: Keiichiro Miyata