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The talk|May 4 2017

繊細な意匠を凝らすこと

              kiminori morishita 2017 spring and summer


限られた型数・生産数で製作される「kiminori morishita」のコレクション。 その根底には、洋服を構成するすべての要素を可能な限り追求したいというデザイナーの想いがある。それは当然のように聞こえて、さまざまなせめぎ合いのなかで実現されることでもある。 国や文化、時代をはじめとしたさまざまな要素のミックスをベースとした今シーズンは、ネイティブインディアンの民族衣装と日本古来の着物の融合に加え、大胆なカッティングやパターンワークによって性別や特定の文化にとらわれない新しいムードを生み出した。

それらを形づくる要素のひとつに、細部にまで渡るディテールワークがある。ジュエリー作家が手がけるインディアンモチーフのコンチョボタンやビーズ刺繍は、手作業ゆえそれぞれ質感や大きさ、絵柄も異なる。縫い代を残し、あえて表地をすべて剥がしたジャケットは、一見無駄とも思える作業によって独自の雰囲気を纏う。

襟や胸にパンチング加工を施したレザージャケットは、特殊なレーザーカッターで穴を開けて模様を製作。通常、別で用意したパーツをつけることの多い裾のフリンジは、一枚革のまま裁断することで、つぎ目のない仕上がりとなる。襟元のパンチング、裾のフリンジの裁断など、すべての加工を一枚の革の上で行うため、非常に高度な技術が要求される。

さらに、紐で結ばれた袖つけが特徴的なジャケットは、ネイティブインディアンの民族衣装と日本の着物から着想を得た。これらのディテールワークの実現には、洋服作りに携わる多くの職人の存在がある。以前、デザイナー・森下公則がインドで出会った職人が刺繍を手がけたシャツもそのひとつ。インディアンの酋長が身につける鳥の羽があしらわれた帽子をモチーフにした驚くほど繊細な手刺繍は、数年前のインドへの旅がきっかけで店頭に並ぶこととなった。

一見すると気がつかないような細かなディテールに気を配り、執着すること。 それが、ひとつの洋服に力を与えることだと考えている。

Text: Haruki Kanda (kontakt)
Photo: Shinichiro Shiraishi