ストリート、ミリタリー、スポーツ。そして、和服を連想させるディテールや絵柄に象徴されるジャポニズム。地域や時代を超えて、多様なムードが集約される。新たな価値観は、それらの融合と衝突を拠り所とすると考えるからだ。
ハッピのようなフォルムやディテールを組み込んだガウンコート、ボンディング加工を施したタイプライター生地によるヴィンテージ感あるミリタリーコートなど、構築的なパターンによるオーバーサイズのシルエットを軸に、ダークトーンをベースとしたコレクションを展開する。
そんなシックなカラーパレットに、デニムの裏面に顔料プリントを施し、裏表逆の生地使いで作り上げたコントラストあるカラーリングのデニムジャケットや、ステンシル風の顔料プリントを施したミリタリーシャツ、前身頃にワッペン、後ろ身頃にはインドの職人によるハンド刺繍を施した大胆なレーヨン素材の羽織コートが色を添える。
さまざまな文化や背景を接続しながら、シックなカラーリングとノーブルな佇まいで表現した今シーズン。
「夜明け前」。デザイナー・森下公則の今である。
Text: Haruki Kanda (kontakt)
Photo: Masahiro Sanbe