布と布が重なり合う拝みと呼ばれるテクニックを用いたダッフルコートや、ゆったりとした袖巾のトレンチコート。 着物から着想を得たジャケットやダウン。ミリタリーや古着、伝統的な和の要素に加え、今季は、80年代のスタイルを取り入れたコレクションを展開する。
通常、自動車のホイールに使用されるシルバーメッキの加工技術を繊維へと落とし込んだほか、製品の状態でスプレーを吹き付け、後処理で古着の様な表情を再現するなど、職人の手仕事によって特別な表情を得た
アイテムがオルタナティブなムードを生み出す。
マテリアルには、英国羊毛のシャリ感と太番手リネンのネップが独特の膨らみを生むヘリンボーンをはじめ、表にウール、裏にコットンを用いた異なる素材の収縮率を活かした凹凸が特徴のピンストライプなど、
繊細なディテールにこだわったオリジナル生地を採用。ミディアムグレーからスーパーブラックまでの濃淡あるモノトーンや、カーキやベージュの製品染め。さらに、80年代を連想させるグリーンやダスティーピンク、イエローなどのユニークなカラーパレットで表現している。
「着る人それぞれに新たな発見や気づきがあれば」と話すデザイナーは、ひとつの洋服としての存在をより強固にする、さまざまな意匠を凝縮させた。
Text: Haruki Kanda (kontakt)
Photo: Yuji Fukuhara