Japanese Modern

The story|October 16 2020

民芸と音の調和。

非日常も常態化すれば、それが新しい日常になっていく。こんな時代だからと捉えるのではなく、新しい時代に向けて変わろうとする節目と捉えた方が、未来に向けての一歩が踏み出しやすいだろう。さまざまな新様式が世に溢れるコロナ禍において、最も身近なことで言えば、家での過ごし方。これまで以上に生活圏で過ごす時間が長くなり、リモートワークも当たり前になっている。こんなときこそ、生活空間を見直してみてはどうだろうか。家具や日用品など、部屋に溢れるものの中から、まず何から手を付ければ良いかは悩ましいが、空間を包み込むサウンドが変われば、すべての生活シーンに彩りが溢れる。

オーディオ好きもうならせる良質なサウンドで、日本の住環境にも馴染むのが、オーディオの輸入・開発を担う〈タイムロード〉が手掛ける、信楽焼のスピーカー「アリーナ」だ。高級オーディオに用いられる、カリフォルニア発のスピーカーユニットを採用。そのユニットの性能を最大限引き出すため、千葉佐倉市にある窯元と共に、穴の長さや直径、壷の容量にいたるまで、約100本の試作を重ねて、このフォルムに行き着いたという。決して奇をてらったわけではない、用の美。四角い箱状の角があるスピーカーとは異なり、乱れることのない透き通った音。低域から、伸び切ったシンバルの音まで、人の耳では感知できないほどの音域を再現する。部屋の左右にスピーカーを置くと、目の前に演奏者がいるような大きなステージが広がる、そのサウンド。音楽において、小型で持ち運びやすい利便性を求める時代がしばらく続いたが、信楽焼のスピーカー「アリーナ」に出合い、改めて、豊かさとは何かを考えさせられた。心が安らぐ時間は、良質な音と共にあるのかもしれない。

(株)タイムロード
「質の高い音楽環境があるライフスタイル」をコーディネートする、オーディオシステムカンパニー。
高品質の“音楽”がもたらす生活の質の向上のベネフィットを提案。希少性の高いハンドメイドで、優れた音再生技術とデザイン性を併せ持ち、住環境にマッチするオーディオシステムを輸入・開発する。

Text: Keiichiro Miyata